いよいよクライマックスへ・・・の前に

踏みとどまったMassieに彼はこう続けた。
「理解できましたか、君は複数の罪を犯しました。身柄を拘束いたします。」・・・えっ!


なかなかシャレの効いた村長さんだ・・・と感心しつつもMassieはどうなるの???
いつか映画で見たワン・シーンを思い出していた。
キャンプ・ファイヤーでもないのに、たくさんのインディアンが焚き火をとりまいている。
そしてその横には何らかの罪で捕まった人が、電信柱のようなものに張りつけられている。
♪ドンドコドコドコ〜・・・太鼓の音に踊り狂うインディアン。
弓やヤリを持ったインディアンが狙いを定めている。(いつの時代やねん)
きっと血祭りにされて殺されるに違いない!・・・などといらぬ心配が頭をよぎった。
ちょっぴりびびったMassieは逃げるより許してもらおうと考えだした。
そうだ!!『ジェイク』だブルース・ブラザーズのあのシーンがいいな〜。
急げ!彼がこちらに話し掛ける前に・・・Massieから切り出さねば。
さぁっ、もともと役者志望だったMassieの演技の見せ所だ。
このオーディション?の合否の結果次第で生死が決まるかも。
コーラス・ラインのオーディションなんて甘い甘い。
ゆっくりとひざまずき、そぉーっと手を合わせ、つぶらな瞳で彼をみつめてこう言った。

「プリ〜〜ズ!!ヘルプ・ミーーー」・・・迫真の演技、イヤッ、真実の訴えは一言で充分だろう。



雪解けまじか

また彼が笑った。「どうやら君は誤解してるようだね?」
「私が取り戻したいのは、カメラのフィルムと君の記憶。」「拘束するのは始末書を書いてもらうため。」だそうだ。
なが〜い取り調べの中で、初めて真実を語るチャンスが訪れた。
殺されないとわかればこっちのもの、大阪の人間にしゃべらしたら止まらへんでぇ〜。
Massieも笑った。「どうやらあなたも誤解してますね。」
「まず第一に何も知らずにココに来た。」「写真も撮る前に捕まったのでフィルムには写ってない!」
「お店のおばちゃんやお客さん、マッチョなおまわりさんとも話してない!!!」
「絵は描いてみたいけど、かけません!!!!!」
「わたしの記憶にはこの部屋とあなたの顔が残りそうです。(笑)」・・・などと約30分。
そろそろこの台詞で形勢逆転?
「一般人が入れないこのオフィスに、招いてくれたのはあなたです。」
「この『プエブロ』で話をしたのは、後にも先にもあなただけです。」
彼はおもむろに席を立ち上がりMassieに近づいて手を差し伸べた。
めったに日本人が来ないという事もあって、
この村の規則を知りつつも、生活を覗いたりフィルムに収めたりと、
静かな環境を破壊?しに来たと思っていたらしい・・・
彼はやさしいインディアンの目でMassieを見つめながらこう言ってくれた。

「兄弟よ、ようこそ我々の村へ。」「君は嘘をつく人ではない。」・・・嘘ついた事あんねんけど。



そして交流が始まった

いつしか友人?としての会話が始まった。
彼は興味深げに「神戸ビーフは本当に美味しいの?」・・・「松阪牛の方が美味しいよぉー」
「日本人はインディアンについてどのくらい知識があるの?」・・・「あなたが祇園の舞妓さんを知ってる程度。」
色々な話をしているうちに、簡単な村の歴史なども教えてくれた。
不思議な事に絶対入れないオフィスで、絶対話すことの出来ないインディアンと楽しげに話してる。
2時間前に容疑者として捕まったMassieだったが、この村がだんだん好きになってきた。
帰る頃にはすっかり打ち解けて、他の村人たちも親切に見送ってくれた。
最後に彼が「気をつけて、また会おう!!」と言った。
Massieは何か粋なセリフがないかな〜???と考えた。

「今度はお店のおばちゃんに話し掛けるよ。だからすぐ捕まえに来て!!」
村人が笑ってくれた。みんなのやさしい笑顔が記憶に残ってしまった。




こうしてMassieとこの村長さんの交流は始まった。
その後この地域を訪れるたびに、時間の許す限り訪ねる事にしている。
結果的にMassieはこの『プエブロ』で、何度も逮捕?された。


P.S そんな小さな村のオフィスにも、すんごい数のパソコンが有りました。



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